第五話 民衆の宗教・大本
綾部よいとこ
 綾部の空をあかねに
そめて陽がしずかにし
ずむ。町なみをすっぽ
りとつつんで夜のしじ
まがたちこめ、由良川
のせせらぎが耳をうつ。
やがて、本宮山麓にひ
ろがる大本の神苑から、
やぐら太鼓の音がひと
きわさえてひろがる。
人々のざわめきのなか
で音頭が宵やみをひき
さいてひびき、踊りの輪はしだいに大きくなる。
こうして名物の一つ愛善踊が夜のふけるのも忘れて
つづくのである。

音頭はうたう。
 ヨ−イヤナ ソレ
 綾部よいとこヨイヨイ高天原と
 神のナ−定めし宮屋敷

 

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